先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
10.26は「2659」。前週比-3.9%。
大幅下落。
9月末は「2914」なので、10月は今のところ-8.8%。
最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-9.6%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
10.26は「3.08%」。
先週末は「3.20%」だったので、利回りは大幅に低下。
リスクオフで国債が買われているか。
9月末は「3.07%」で10月はわずかに上昇。
昨年末は「2.41%」であり今年は約「0.7%」上昇。
今後も注目の指標。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ半年>
<先週>
2018.10.26は「24.16」。前週の「19.89」より上昇。
10.11に一瞬「28.64」まで上昇しましたが、先週のピークは「27.52」程度。
10.11のピークは上回らず。
わたしのVIXロングポジションはまずまずの利益を出し、利確を進めていますが、当初のポジションの半分くらいはまだ残しています。
どこまでひっぱろうか、というところ。
長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は
やや不安?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価が割安な状況ではなさそうです。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2018.9月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末
2018.10.25時点のジャンク債スプレッドは「2.4」で、前週の「2.2」より拡大。
※ジャンク債利回り「5.49%」、米国債(10年物)の利回り「3.11%」
あまり動きがなかったクレジットスプレッド、最近少し
拡大方向(投資家のリスク許容度低下方向)
に動きやすくなっています。
長期平均は「3.0」であり、単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は
「やや割高傾向?」
と推測。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2018.10.26時点の推計値は「3.19」。前週の「3.32」から大幅に低下。
水準としてはITバブルの頃のピーク(5.06)にははるかに及ばず、サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)は上回る水準。
長期平均の「2.79」は大幅に上回っており、現在は少なくとも
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.25
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2018年9月末で約「36.1兆ドル」(前月末は「36.2兆ドル」。浮動株調整行わず)。
わずかですが久々に減少。
2018年9月末の米国バフェット指標は「1.77」(前月末は「1.77」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は
割高圏?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
●S&P500のPBR:目立った低下
●CAPEレシオ:節目の「30」を下回るかどうか
あとがき
<S&P500:ここ1年>
S&P500が昨年末の値を下回っています。
※出所:米S&P 500 インデックス(SPX) - Investing.comより作成
2018年は月間では7回がプラス、10月(26日まで)を含むと3回はマイナス。
約10ヶ月でトントンというところ。
●他国の株安を対岸の火事として放っておけた状態が今後も続くのか?
●結局順番が遅いだけで米国も株安の波に飲み込まれるのか?
あるいは
●世界景気が反転して世界的に株高の流れが復活するのか?
7-9月の米国GDP成長率(速報値)も堅調であり、
米国景気良好⇒今後も株高
という意見もありそうですが、世界景気全体の流れになびきやすいとわたしは感じます。
中長期的には今後の景気次第。
10月中旬ごろから下げトレンドですが、来週はさすがに反発するのかどうか。
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