ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

”凶悪”な下落相場 <その2>

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景気減速を伴う下げ相場をふりかえるシリーズ。

近年の4回の下げ相場を概観します。

今回は

”凶悪”な下落相場 <その1>

の続きです。

※その他の記事はコチラ

近年の景気後退期・景気回復期 カテゴリーの記事一覧 

※参照:ITバブル崩壊とは|金融経済用語集


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所感②:「米国の景気後退をともなうかどうか」は大きなポイントか

これまで4回、世界の景気減速をともなう下落相場について書いていますが、

「米国の景気後退をともなうかどうか」

は大きなポイントと思われます。

世界の景気減速時、世界全体の時価総額のピークからの減少率は

①チャイナショック:19.2%

②欧州債務危機:23.5%

③サブプライムバブル崩壊期:54.1%

④ITバブル崩壊期:43.1%

でした。

このうち③④は米国の景気後退期を含み、4~5割程度の大きな減少。

①②は2割前後の減少で済んでいます。

※過去の米国景気後退期⇒What Dates are Used for the U.S. Recession Bars? | Getting To Know FRED

米国の時価総額が世界全体に占める割合は大きいので、当たり前といえば当たり前ですが、米国さえ崩れなければ致命的なダメージを負いにくい、かもしれない。

逆に米国景気が崩れるときは大ダメージを想定していいわけで、やはり米国景気の動向を気にしておくことは、世界のどこで何に投資していても、無駄ではないような気がします。

所感③:何度もだまされるのはつらい

<CLI(OECD全体)とS&P500の推移>

f:id:yukimatu-tousi:20181030002723p:plain※出所:https://jp.investing.com/indices/us-spx-500-historical-dataLeading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成

前回のグラフを再掲します。世界景気とS&P500の推移です。

四角で囲った部分がITバブル崩壊期。

世界景気の減速とともにS&P500も下落トレンドにありますが、景気は途中、一時的に回復のそぶりをみせます。

f:id:yukimatu-tousi:20181030162218p:plain

緑四角の時期、CLIは「98.6⇒99.6」まで上昇し、世界景気は一時的に改善しています。

それに伴ってS&P500もこの時期

「945⇒1177」

となり「+24.6%」の大幅上昇をみせます。

待ちに待った景気回復ととも訪れた株価上昇です。

ただ、これは偽りの景気回復、再び景気は悪化、株価も下落を続け、

「1177⇒769(ボトム)」

となり「-34.7%」の大幅下落。

これで終わりではありません。

その後、景気が悪化を続けるなか、

「769⇒954」(+24.1%)

「954⇒789」(−17.3%)

という短期的な乱高下をみせ、この「789」が二番底となり、その後4年半で世界の時価総額が約3倍になる暴騰相場の幕が切って落とされる。f:id:yukimatu-tousi:20181029225049p:plain※出所:https://www.world-exchanges.org/より作成

2000.3~2003.3のS&P500の動きを整理すると以下のようになります。

2000.3:1553(ピーク)

2001.9:945(ピークから-39.2%・1年半後。だましのボトム)

2002.1:1177(だましのボトムから+24.6%)

2002.10:769(ボトム。1177から−34.7%。ピークから2年9ヶ月後)

2002.12:954(ボトムから+24.1%)

2003.3:789(954から−17.3%。二番底)

単純に3年といっても、後半の1年半は乱高下しており、人間不信ならぬ

「市場不信」

になってしまいそうな動き。

景気と市場のままならない動きに翻弄され、ふるい落とされる投資家が多かったのではないかと推測されます。

期待させられて、裏切られて、を何度も繰り返すと、意欲は失せる。

人がほとんど寄り付かなくなったころにスルスルと何事もなかったように暴騰を始める株価。

わざわざ”凶悪”という言葉を使ってもそれほど大げさでないように感じる、底意地が悪すぎる市場の一面を感じさせる3年間ともいえそう。

2017年のように怒りをほとんど出さず、微笑みとともに見守ってくれているような時期もあれば、そうでない時期もあることは間違いなさそうです。

おわりに 

以上、4回の世界景気の減速をともなう下落相場をみてきました。

わたしなりに感じるのは

●景気動向と株価の関係は密接であり、景気は気にしたほうがよさそう

●景気や株価のピーク・ボトムを正確に当てるのは困難。とくにだましの景気回復を伴う景気後退はたちが悪い

●ただ、「だいたいの感じ」をつかめれば

「景気のピークでフルインベストメント」

「景気のボトムで全ポジション解消」

などの、できれば避けたい投資行動を避けられる可能性は上がりそうな気はする

●CLIでみると4回の景気減速期の期間は

15ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、30ヶ月

経験則にすぎないが、だましの景気回復も含めて概ね

1年半前後~3年程度

景気減速トレンドが続くことは想定しておいてもいいのかも。

※2018年10月現在⇒9~10ヶ月程度経過中か?

●視点を変えると、投資がうまくいかなくても数年耐えればうまくいきだすことは多かった、とはいえそう(あくまで近年の経験則)。

これらの知見が今後役立つのかは全く分かりませんが、少し長めの投資スパンを想定する場合、個人的には今後も大事にしていこうと思う

「市場の見方」「投資タイミングの計り方」

の一つです。

※うまくいく保証はありません。投資は自己責任で

<CLI(OECD全体)と世界の時価総額の推移>

f:id:yukimatu-tousi:20181030221123p:plain

※出所:https://www.world-exchanges.org/Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成

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