世界的な景気拡大を伴う上昇相場をふりかえるシリーズ。
2000年以降の4回の上昇相場を概観します。
今回は記憶に新しい上昇相場、チャイナショック後の上昇期を取り上げます。
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4回の景気拡大期と株価について
●世界景気の指標
⇒CLI(OECD全体)
※CLIについてはコチラ↓
●主要株価
・全世界の時価総額(ドル建て)
・S&P500(米国)
・ナスダック総合(米国)
・TOPIX(日本)
・DAX30(ドイツ)
・上海総合(中国)
・Nifty 50 (インド)
とし、2000年以降の4回にわたる世界景気拡大期の株価を確認してみます。
世界景気の拡大期①:2016年5月~2017年11月
※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
近年のCLIとS&P500の推移です。
チャイナショック後の上昇期となる①の期間、CLI(≒世界景気)の数値は
99.5(2016.5)⇒100.4(2017.11)
に上昇。
2016.5~2017.11の18ヶ月間(1年半)、世界景気は拡大を続け、米国株も上昇していたことを示唆するグラフ。
比較的軽微な世界景気の減速期といえるチャイナショック後に、1年半続いた景気拡大期。
恐怖指数(VIX指数)が異常とも思えるほど低値で推移し、落ち着いた上昇相場であった点が特徴的。
株価の確認
この期間(2016.5~2017.11)の株価のボトム・ピーク時期と上昇幅を確認してみます。
●各国株価のボトム時期:2016.5~2016.6頃に集中
●各国株価のピーク時期:2017.11頃に集中
●先進国の上昇率:ざっと3~5割
●新興国の上昇率:ざっと2.5~3.5割
世界全体の時価総額は1年半かけて2.5割ほど増加しました。
※時価総額は月末値の比較で、月中のボトムとピークを拾っておらず、他の株価指数より小さめの変動となっています。またこの時期のドル高も影響
上昇率のグラフです。
ナスダック、TOPIX、DAXは5割前後の上昇率。
この期間、意外にS&P500は上がっていませんが、チャイナショック時の下落がS&P500は軽微だったことが一因かもしれません。
※表とグラフの出所:https://www.world-exchanges.org/、TOPIX- Yahoo!ファイナンス、https://jp.investing.com/indices/major-indicesのデータより作成
所感①:世界の時価総額の「連続増加記録」を演出
※出所:https://www.world-exchanges.org/より作成
2016年10月~2018年1月まで、15ヶ月連続で世界の時価総額は増加を続けました。
近年では最長記録です。
チャイナショック後の
●世界景気の穏やかな拡大
●日銀やECBなどの量的緩和政策
●トランプ減税
●2009年以来久しく米国では景気後退が訪れていないこと(米国経済や米国株への安心感)
等の要因が重なり、安定した上昇相場が実現したと思われます。
ずっとこんな相場だと、投資のストレスも減るんですが。
※関連記事 ★世界の時価総額、連続増加期間ランキング
所感②:恐怖指数(VIX指数)が概ね低下を続けた
この景気拡大期、VIX指数は概ね低下傾向。
月末値では一度も1990年以来の長期平均(19くらい)にも届かないという穏やかな相場。
2017年11月には最低値「8.56」を記録。
※出所:https://jp.investing.com/indices/volatility-s-p-500より作成
若干
「穏やか過ぎる」⇒「逆に怖い」
という印象も受けた相場でしたが結果的に2017年はロング一本での勝負が正解でした。
この静けさは2018年2月の急落で吹き去り、2月にVIX指数は「50.3」という2018年の高値をつけることになります。
※わたしは株価水準が高く感じたのでそれなりにヘッジしていましたが、2017年は年間でかなり「無駄」な経費がかかり利益を削られました。ヘッジは2018年2、3月になって報われることになります
所感③:日本株もよく上げた
※出所:SBI証券より作成
ここ5年のTOPIXとS&P500の比較です。
世界景気が拡大していた2016.5~2017.11だけをみると、S&P500よりTOPIXの方が上げています。
チャイナショック後の下げが大きかった反動、という要因も大きそうですが、日本株も上がるときは上がります。
たまに
「日本株はだめで米国株はいい」
という主張をみることもありますが、わたしは
●割に合うと思うなら(投資の期待値が相対的に高いと思うなら)
●自分がやりやすければ
●自分が気に入っていれば
どこの市場でトライしてもいいんじゃないかと思う派。
数十年の長期投資ならまた話は別かもしれませんが、FXでも株式でも不動産でも給与所得でも何でも、自分が満足していてうまくいってるなら何でもいいのではないかと。
あとがき
穏やかな上昇相場はいつかは終わるようですが、それがいつかは分かりません。
信じ切ったときに裏切られ、もう絶対騙されないぞ、とこちらが身構え距離を置いたときに最も甘い態度をみせている、かのような一面が市場の意地悪なところかも。
とりあえずさえない時期もあればいい時期もあるようなので、主に景気動向でご機嫌をうかがいつつ、自分のペースを守ってマイペースで付き合っていくのがベターな相手とわたしは認識。
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