先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
2.22は「2793」。前週末比「+0.6%」。
2019年1月末は「2704」だったので、2月は+3.3%。
1月に続いて大幅上昇となるか。
最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-5.0%」の水準。
最高値にも接近中。
<先週の米国10年国債利回り>
2.22は「2.65%」。
前週末は「2.66%」だったので、週間で利回りはやや低下。
昨年末は「2.69%」で今年はやや低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
2.22は「13.51」。前週の「14.91」より低下。
ジリジリと下がってきました。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年のピークの概算値
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2019.1月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.12月末
2.21時点のジャンク債スプレッドは「2.3」で、前週の「2.4」より低下。
VIXと同様、こちらもジリジリと低下傾向。
「安心、リスクオン」傾向が続いています。
昨年10月末の値を下回ってきました。
※ジャンク債利回り「5.04%」、米国債(10年物)の利回り「2.70%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理は安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.2月(2月は21日のデータ)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2.22時点の推計値は「3.31」。前週の「3.29」より上昇。
水準としては
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.79」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
1月末のデータが確認できました。
米国の時価総額は2019年1月末で約「33.1兆ドル」(前月末は「30.4兆ドル」)。
前月より大幅増。
2019年1月末の米国バフェット指標は「1.54」(前月末は「1.48」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、1月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
この指標の水準としては2017年8月頃と似た数値。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.48兆ドル(IMF推計)。2018年は20.51兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・「恐怖指数」「ジャンク債スプレッド」:低くなってきており投資家の「安心感」「リスク許容度の上昇」を示唆
・「米国のバフェット指標」:ITバブル時を上回る
おわりに
通商会議は延長?
3月にも首脳会議?
というニュース。どうなりますか。
今週は2/28(木)に
☆中国 2月製造業 PMI(10:00)
☆米 10-12月期 GDP(22:30)
の発表があるようです。
中国の製造業PMIは2018年12月~2019年1月、2ヶ月続けて節目の「50」を下回っており(景気減速を示唆)、2月はどうなるのか。
米国の2018年10-12月期のGDP成長率は前の期より低くなる模様。
どの程度低くなるか、気になるところ。
数字によっては市場に影響があるかもしれません。
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