先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
8.23は「2847」。前週末比「-1.5%」。
2019年7月末は「2980」だったので、8月月間では「-4.5%」。
2018年末は「2507」で、今年は「+13.6%」。
最高値は2019年7月の「3028」で今は高値から「-6.0%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
8.23は「1.53%」。前週末は「1.56%」だったので週間で利回りは低下。
木曜までは1.6%以上あったのですが、金曜に大幅低下。
昨年末は「2.69%」で今年は1%以上利回りが低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
低かったのは1月の「2.42%」。
2018年の平均値は「2.91%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
8.23は「19.87」。前週の「18.47」よりやや上昇。
直近高値は8月の「24.8」。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年の高い値(概算値)
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
スポンサーリンク
ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:2.9
<期間:1996.12月~2019.7月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2019.3月末
8.23時点のジャンク債スプレッドは「2.4」で、前週の「2.7」から大きく縮小。
※ジャンク債利回り「3.99%」、米国債(10年物)の利回り「1.61%」
8.23までは落ち着いた状況でした。
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理はやや安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより月末値で作成 ※期間:2016.1月~2018.8月(8月は23日時点)
※2018.1月のボトムは1.56%でなく1.78%でした。誤りであり訂正
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
8.23時点の推計値は「3.28」。前週の「3.33」より低下。
引き続き近年では高水準。
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.80」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2018年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年6月末で約「35.9兆ドル」(前月末は「33.7兆ドル」)。
前月より大幅な増加。過去最高水準。
※過去最高は2018.8月の約「36.2兆ドル」
2019年6月末の米国バフェット指標は「1.68」(前月末は「1.58」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、6月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.34兆ドル(IMF推計)。2018年は20.49兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい米国株。
・「S&P500のPBR」「シラーPER」:高水準
・「長短金利差」:ほぼ0近辺
おわりに
長短金利差について勉強になる記事。
記事より引用。
足元の米国の経済指標は消費と雇用を中心に堅調であるため、経済の実態を無視して2y-10yの占いに没頭するエコノミストは上の図などで揶揄されがちである。しかし、消費やら雇用やらのActual Dataは所詮遅行指標である
米国の消費、雇用などを根拠に
「米国経済はいまだ絶好調」
とする主張を散見しますが
「消費やら雇用やらは所詮遅行指標」
という見識は気になるところ。
この見識通りに事が運ぶとすると、先行性の高い株価などが中長期的に下落していく場合、消費も雇用も徐々に悪化する、という流れになる可能性は高いのかも。
さて、先週は週末に突然のリスクオフ。
米中関税合戦がらみのニュースの影響が大きかったか。
米国は荒れましたが日本市場は金曜までそこそこ落ち着いた状況で個人的には少しずつロングショートのポジションを増やしていたのですが、この感じでは来週早々に撤退か。
来週月曜日の日本株は大きく下げるとして、その後は続落?やリバウンド?でのボラが大きくなって不測の状況が生まれやすそうで、あまり好きな環境ではないので。
わりと気楽に撤収できるのがロングショートの利点、と自分を慰めつつ撤収、か。
ジャクソンホールというイベントがらみではありましたが急な展開。
あとの祭りですがイベント前に
「少額でもプットオプション買っておく」
「ボラ上昇に賭けるオプション両建て」
がうまくいったケースとなるか。
こんな記事も