先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
1.17は「3330」。前週末比「+2.0%」。
12月末は「3231」で1月月間では「+3.1%」。
最高値更新中。
<先週の米国10年国債利回り>
1.17は「1.83%」。前週の「1.82%」からやや上昇。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
<先週>
1.17は「12.10」。
前週の「12.56」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年以降の高い値(概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.10月:「29」
・2018.12月:「36」
・2019.5月:「23」
・2019.8月:「25」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997.1月~2019.12月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1997.1月末~2019.12月末
2020.1.16時点のジャンク債スプレッド(格付けBB、オプション調整後)は「1.89」で、前週の「1.94」よりやや縮小。
債券市場投資家のリスク許容度、やや上昇か。
スプレッドは長期平均「3.3」より小さく、投資家心理は安心?か。
株価水準としては
割高?
と推測。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
1.17時点の推計値は「3.76」。前週の「3.69」より上昇。
★ITバブルの頃のピーク(2000年の5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2007年の2.91)
は上回る水準。
最近のS&P500の高PBR。
①2018.1.26:3.60倍
②2018.9.21:3.51倍
③2020.1.17:3.76倍
この期間の中央値「2.77」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2018年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年11月末で約「36.4兆ドル」(前月末は「35.3兆ドル」)。
2019.7月「36.3兆ドル」を上回り過去最高。
2019年11月末の米国バフェット指標は「1.70」(前月末は「1.65」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、米国株式は
割高圏?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.44兆ドル(IMF推計)
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
かなり割高っぽい米国株。
・「恐怖指数」「ジャンク債スプレッド」「失業率」:低水準
・「S&P500のPBR」「シラーPER」:高水準
・長短金利差:前週よりやや縮小
おわりに
2018年以降のS&P500、月間騰落率。
※出所:S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
2020年1月も入れると、この25ヶ月のうち下落は6回。
4ヶ月に1回くらい下落する率。
2017年は1年で1度しか下落しなかったので、2017年から数えると37ヶ月のうち下落は7回。
5ヶ月に1回くらい下落する率。
このくらい下落率が低いうえに2016年末から2020.1.17まで約3年1ヶ月の上昇率は48.7%(2239⇒3330)。
ここ3年は好成績。
ちなみに2016年末⇒2018年末の2年だと上昇率は12.0%(2239⇒2507)。
1年ほどで大きく変わる投資風景。