先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
3.13は「2711」。前週末比「-8.8%」。
3月月間では「-8.2%」。
2020.2月の最高値「3394」から「-20.1%」の水準。
<ここ5日の米国10年国債利回り>
3.13は「0.98%」。前週の「0.77%」から上昇。
先週は史上最低値の「0.3%」程度まで急低下し、その後「0.98%」まで急上昇。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
3.13は「57.83」。前週の「41.94」より上昇。
ここ30年でリーマンショック時に次ぐ高い水準で推移。
場中のピークは「77.57」を記録。
水準としては長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は
不安?
と推測。
目安の「30」以下であり、短期的には株価は割安?の可能性。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.10月:「29」
・2018.12月:「36」
・2019.5月:「23」
・2019.8月:「25」
・2020.3月:「78」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
スポンサーリンク
ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997.1月~2020.2月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.3.12
2020.3.12時点のジャンク債スプレッド(格付けBB、オプション調整後)は「5.30」で、前週の「3.27」より急拡大。
債券市場投資家のリスク許容度は急低下中。
スプレッドの長期平均「3.3」付近であり、投資家心理は不安?か。
1997年以降ではこのスプレッドが概ね「5%」を超えてくる時期が「悲観に満ちた」時期であり、今はまさに悲観的状態。
ITバブル崩壊後(6.9%)や欧州債務危機(6.4%)を超えてくるかどうか。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
3.13時点の推計値は「3.00」。前週の「3.29」より急落。
2017年以降、節目の3倍を超えていることが多かったですが、久々に下回ってくるか。
★ITバブルの頃のピーク(2000年の5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2007年の2.91)
は上回る高水準。
最近のS&P500の高PBR。
①2018.1.26:3.60倍
②2018.9.21:3.51倍
③2020.1.17:3.76倍
この期間の中央値「2.77」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2018年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2020年1月末で約「36.7兆ドル」(前月末は「37.1兆ドル」)。
2020年1月末の米国バフェット指標は「1.64」(前月末は「1.73」)。
1月末からS&P500は16%程度下げていることを考慮すると、1995年からの中央値(1.33)付近かやや上回っていそうな水準(適当な推測です)。
米国株の水準
ふつう~やや割高?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2020年米国名目GDP:22.32兆ドル(IMF推計)
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安時期の可能性
★ジャンク債スプレッド⇒割安時期の可能性
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒ふつう~やや割高?
以上から米国株の水準は
ふつう~やや割高?(投資タイミングとしてややネガティブ要因?)
と推測。
また
★米国の金融政策:緩和的(ポジティブ要因?)
★米国の景気 :悪化傾向(ネガティブ要因?)
と推測。
株価水準、金融政策、景気動向から考え、現時点で米国株の投資タイミングに関して
ふつう~ややネガティブ
なスタンス。
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
長らく漂っていた割高感はかなり減退。
・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:高値
・S&P500のPBR:まだ長期中央値より上
・シラーPER:サブプライムバブルの時を下回る
・長短金利差:拡大中
おわりに
FRBが「量的緩和+ゼロ金利宣言」。
緩和余地は一気に減少、中銀の弾薬切れ感が強まってきているか。
3月13日の株価水準はピークから「-20%」水準。
2019年1月末くらいの水準。
米国株の割高感はそこそこ減退してきましたが、S&P500のPBRはまだそれほど低くなく(中央値より上)、日本株に比べるとまだまだ元気な印象を持ちますが、今夜はまた荒れるのでしょうか。
こんな記事も