ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

S&P500 最高値更新 ~米国市場の概況~

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先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

8.21は「3397」。前週比「+0.7」。

8月月間では「+3.9」。

8月も続伸し最高値更新。

<先週の米国10年国債利回り>

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※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

8.21は「0.64%」。前週の「0.71%」より大きめに低下。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<1990年~>

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<先週>

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※出所:S&P 500 VIXインデックス

8.21は「22.54」。前週の「22.05」よりやや上昇。

株高の中、あまり下がらず。

水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

ふつう~やや不安?

と推測。

今は割安時期の目安の「30」以下。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.4

 ★中央値:3.2

<期間:1997.1月~2020.6月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

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※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.8.20
2020.8.20時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.72」で、前週の「3.60」より上昇。

8/7以降2週連続の上昇。

何らかの風向き変化を反映しているか。

スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は平均以上、投資家心理はやや不安?か。

<ここ1年>

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※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成  

●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)

●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)

というアナウンスを契機に今のところBB格のスプレッド拡大は押さえ込めている印象。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR

f:id:yukimatu-tousi:20200823122016p:plain※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

8.21時点の推計値は「3.84」(前週は「3.81」)倍で続伸。

引き続きITバブル以降で最も高い水準。

節目の「4.0倍以上」にやや接近。

今は長期の中央値「2.77」を37.5%ほど上回っており、現在株価は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018.1.26:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018.9.21:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020.1.17:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2020.8.21:3.84倍(コロナ後のリバウンド)

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2019年末 

米国の時価総額は2020年6月末で約「35.6兆ドル」。

2020年6月末の米国バフェット指標は「1.83」(1Qに比べ、2020年2Q米国名目GDP推計値が小さくなったため、バフェット指標は大幅上昇)。

今のS&P500は6月末(3100)より9%ほど高い水準。

長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より大幅に高い可能性が高く、株価水準は

割高?

か。

※2020年2~3月のWFEの米国時価総額データは誤りである可能性が高く、今は使用せず。2020年6月データからの適当な推測です。ご参考までに

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※データ出所:https://www.world-exchanges.org/世界経済のネタ帳Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成

※2020年2Q米国名目GDP推計値:19.41兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

 ★米国バフェット指標 ⇒割高?

以上から米国株の水準は

割高?(投資タイミングとしてネガティブ要因?)

と推測。

また

★米国の金融政策:緩和的(ポジティブ要因)

★米国の景気 :悪化傾向?(ネガティブ要因?)

と推測。

株価水準、金融政策、景気動向から考え、現時点で米国株の投資タイミングに関して、ややネガティブ~ネガティブ?な印象。

※個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で 

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

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とても割高っぽい状況。

・ジャンク債スプレッド:先週に続き拡大

・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

・長短金利差:前週の「0.56%」から「0.49%」に縮小

おわりに

S&P500は最高値更新。

ITバブル時には

☆バリュエーションが高そうな銘柄をショート

☆比較的割安と思しき銘柄をロング

のロングショートで大失敗した機関投資家が多くいたとか。

安易なショートは怖い。

今がバブルなのかも不明ですが、とりあえず下げて上げて、大きく動いている2020年。

あと4ヶ月ほど、予断を持ちすぎず、焦らずに乗り切れればというところ。

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