先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
7.2は「4281」。前週比「+1.7%」。
6月月間では「+2.2%」でした。。
最高値更新中。
<先週の米国10年国債利回り>
7.2は「1.43%」。前週の「1.52%」から大きく低下。
最近変動幅が大きめ。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<先週>
7.2は「15.07」。前週の「15.62」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
やや安心~安心?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997年1月~2021年6月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.7.1
7.1時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.16」で、前週の「2.21」より縮小。
コロナ後の最低値更新。
リーマンショック後のボトム(約1.96%、2018年1月末)に接近中。
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約33%低い水準。
投資家心理は
楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
7.2時点の推計値は「4.69」(前週は「4.62」)倍で前週より上昇。
ITバブル以来の高水準。
コロナ後のピーク。
長期の中央値「2.78」を69%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年7月:4.69倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2021.7
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.4」倍。
2021年7月までの5年移動平均は「30.6」倍。
7.2は約「38.2」倍で前週(38.0)より上昇。
長期の中央値より約45%、5年移動平均より約25%高い水準。
株価水準は
やや割高~割高?
と推測。
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、3つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高~割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:けっこう低い数値
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・米国失業率:6月は前月より0.1%上昇
おわりに
引き続き米国市場の楽観強まり、ITバブルのピーク水準まで
☆シラーPER:あと約16%
☆S&P500のPBR:あと約8%
に肉薄。
今がバブルなのかどうかは後にならないとわからず、当時と今では状況が大きく異なるので単純比較はできませんが、個人的には用心していてもいい時期と推測。