ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

恐怖指数が20台前半に落ちるまで「売り方、やめ」的な ~米国市場の概況~

先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<S&P500>

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

6.24は「3912」で前週比「+6.4」。

6月月間では今のところ「-5.3%」。

2022年1月の最高値「4819」より「-18.8」%水準。

<米国10年国債利回り>

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

6.24は「3.14」。前週は「3.23%」で先週は低下。

先週は

★株価⇒上昇

★債券利回り⇒低下

★ドル指数⇒低下

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ5年>

※出所:S&P 500 VIXインデックス

6.24は「27.23」。前週の「31.13」より低下。

水準としては長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は

やや不安?

と推測。

短期的な割安時期の目安の「30」は下回る水準。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2022.1月:「39」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
スポンサーリンク


 
★ブログランキング参加中! にほんブログ村 株ブログ 米国株へ 

ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.30

 ★中央値:3.14

<期間:1997年1月~2022年5月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2022.6.9
6.23時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.78」で、前週の「3.67」より拡大。

スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約20%高い水準。

投資家心理は

やや悲観

か。

株価は先週大幅上昇、ジャンク債市場も今週は悲観が薄まるかどうか。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

6.24時点の推計値は「3.88」(前週は「3.65」)倍で前週より大きく上昇。

長期の中央値「2.80」を39%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年12月:4.73倍(コロナ後)

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

シラーPER

※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.5

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.5」倍。

2022年5月1日までの5年移動平均は「32.0」倍。

 

6.24は約「30.2」倍で前週(28.4)より上昇。

長期の中央値より約14%高く、5年移動平均より約6%低い水準。

株価水準は

やや割高?

と推測。

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒やや割安?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒やや割高?

長期的には米国株の水準は

やや割高~割高?

と推測。

現時点での米国株の投資タイミングに関しては

ややネガティブ~ネガティブ

な印象。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg 

・ジャンク債スプレッド:やや悲観、不安状態

・S&P500のPBR:高水準

・シラーPER:やや楽観ゾーンか

2018年との金利、株価比較

前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。

当時と今の比較。()内は前週値。概算値。

利上げは3回、量的引き締めは2022年6月に開始とのアナウンス。

②は2018年と同じくらいの水準。

③は前週と変わらず、2018年より「0.9%」ほど高い状態。

おわりに

短期的には恐怖指数は30を上回り、ジャンク債スプレッドは長期中央値を17%上回るなど、それなりの悲観は漂い、今月だけでS&P500は11%も下げているので、月後半は大きい資産運用主体の月末リバランスなども入って、少しは落ち着きそうな雰囲気も。

と前週書いていましたが、一週間でガラッと雰囲気は改善し、6月末に向かってリスクオン継続の雰囲気も。

<恐怖指数:ここ5年>

※出所:S&P 500 VIXインデックス

もし恐怖指数が底値を切り上げながらギザギザ形成を続けるなら、今は

・恐怖指数が20台前半~中盤に下がるまで「売り方、やめ」

的なフェイズか。

年金リバランスなど大きな動きに一時的に追随したい派も多そうなので、強すぎる弱気スタンスは短期的にしんどくなりそうな状況か。

関連コンテンツ




【更新の励みになります。よければ応援クリックを!】

follow us in feedly