先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。
簡単な米国市場の概観
<S&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
9.2は「3924」で前週比「-3.3%」。
8月月間では「-4.2%」でした。
2022年1月の最高値「4819」より「-18.6」%水準。
<米国10年国債利回り>
9.2は「3.20%」。前週は「3.03%」で先週も上昇。
先週は
★株価⇒下落
★債券利回り⇒上昇
★ドル指数⇒上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
9.2は「25.47」。前週の「25.56」よりやや低下。
水準としては長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は
やや不安?
と推測。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.30
★中央値:3.14
<期間:1997年1月~2022年8月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fed
※期間:1997.1月末~2022.9.1
9.1時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.47」で、前週の「3.11」より大きめに拡大。
スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約11%高い水準。
投資家心理は
やや悲観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
9.2時点の推計値は「3.90」(前週は「4.03」)倍で前週より低下。
長期の中央値「2.80」を39%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.8
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.5」倍。
2022年8月までの5年移動平均は「31.9」倍。
9.2は約「29.4」倍で前週(30.4)より低下。
長期の中央値より約11%高く、5年移動平均より約8%低い水準。
株価水準は
やや割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒やや割安?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高?
長期的には米国株の水準は
やや割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・ジャンク債スプレッド:やや悲観ゾーンへ
・S&P500のPBR:高水準
・シラーPER:やや楽観ゾーンか
・米国失業率:7月⇒8月は「3.5%⇒3.7%」に上昇
2018年との金利、株価比較
前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。
当時と今の比較。()内は前週値。概算値。
利上げは4回、量的引き締めは2022年6月に開始。
②は先週より上昇、2018年より「0.1%」高い水準。
③は先週上昇、2018年より「0.8%」高い状態。
※データ出所
●アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com
●30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fed
●S&P500 インデックス(SPX) - Investing.com
金融ストレス指数
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI3) | FRED | St. Louis Fed
2022.8.26は「-1.70」(前週は-1.91)で前週より金融ストレスが上昇。
水準としては1994年以降で最もストレスフリー。
※金融ストレス指数について
⇒金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance
おわりに
<S&P500:ここ1年>
※出所:マーケット|SBI証券
S&P500は200日移動平均を目前にして3週連続の下げ。
上記は米国債長短金利差(10年-3ヶ月)、1982年以降。
9.2は「0.26%」。
9月FOMCで利上げ幅が0.5%以上であれば、その時点で金利差逆転しそうな状況。
直近4回の景気後退では金利差逆転後
8ヶ月~1年10ヶ月
たったころに景気後退が起きていますが、今回もこのジンクスが通用するなら、2023~2024年に景気後退。
今は米株が2割ほど下げてもインフレで金融緩和にも大規模な財政出動にも動きにくい状況であることもあって、わたしは現状
2023年に米国景気後退派
でいますが、はたして。
またもし世界的な景気後退となるなら個人的な勘では
①欧州⇒②中国⇒③米国・日本
の順に景気後退しやすそう。
米国が景気後退するころの欧州・中国景気は深刻化していそうな雰囲気。
今の中国はここ数十年世界景気的に頼りになった中国ではないような気がします。