米国の景気動向、株価動向を【米国の失業率】と【景気循環】で探る記事です。
米国の失業率を知るメリット
「失業率」と「景気」は関連が強く、「景気」と「株価動向」にも関連があり、「失業率」は長期的な「株価動向」を探る材料になり得る、と思われます。
失業率 ⇔ 景気 ⇔ 株価
最新の失業率
2018年9月の失業率は「3.7%」(前月比-0.2%)でした。
この数値は
・サブプライムバブルの頃のボトム「4.4%」
・ITバブルのころのボトム「3.8%」
を下回る低い値です。
失業率の推移
※出所:US Unemployment Rateのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年9月
この期間の長期平均「5.6%」で、ラインを引いています。
米国失業率は2009年10月のピーク(10.0%)から2018年9月(3.7%)まで、8年11ヶ月間の下落トレンドが続いています。
2018年4月以降、半年間「4.0%」以下で推移。
株価(S&P500)と米国失業率
※出所:US Unemployment Rate、Yahoo Financeのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年9月
米国の失業率と「<S&P500>÷200」の推移を併記したグラフです。
2018年1月頃をピークに、3月まで一端両者の差は狭くなりましたが、その後再び拡大モード。
1995年以降、失業率の「低下時期」に株価は上昇しやすく、
失業率の「急上昇+高水準の維持期」
に株価は低迷しやすい傾向がうかがえます。
短期的な状況判断には役立ちませんが、長い目で見ると、
景気(⇔失業率)と株価
の関係をうかがう目安にはなりそうなグラフ。
米国景気拡大期
※出所:景気循環でみると2017年に米景気は後退期入り?|第一商品より管理者作成
1945年以降の米国景気拡大期をまとめた表です。
あくまで経験則に過ぎませんが、今後も景気循環が今までのように続くなら、とても参考になる情報です。
今回の景気拡大は2009年6月に始まり、現在は9年2ヶ月以上、米国の景気拡大が続いているようです。
上記データによれば、1945年以降の米国の景気拡大期の平均は約5年、最長で10年。
直近3回の景気拡大期の平均は「95ヶ月」(7年11ヶ月。約8年)。
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●株価の「ピーク」と「ボトム」のタイムラグ・ピークからの下落率②
参考データ
失業率の長期推移(1948年~)と景気後退
※出所:Civilian Unemployment Rate ※期間:1948年1月~2017年12月
上記は米国失業率の約70年の長期推移です。
灰色のラインは景気後退期でこの期間、11回あります。
よくよく観察すると、
●失業率のボトムからしばらくして
あるいは
●失業率のボトムから失業率が上昇し出すタイミングで
景気後退が訪れるというパターンが目立ちます。
米国失業率のデータ
1948年1月~2018年7月で最低の失業率は1953年の2.5%です。
その他、失業率のボトムは1960年代に3.4%。
その後はITバブルの頃(2000年)の3.8%が目立ったところ。
最大値は1982年11~12月の10.8%。
比較的近年では2009年10月に10.0%を記録。
平均値は5.77%。中央値は5.60%。
「FFレート」「失業率」「株価」の確認
※出所:US Unemployment Rate、Yahoo Finance、Effective Federal Funds Rateのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年8月
1995年以降の「失業率(%)」「実効FFレート(%)」「S&P500÷300」の推移です。
直近2回のバブル崩壊は
●失業率の底打ち
●FFレートの頭打ち(利上げの中止)
が不吉なサインでした。
2018年9月は
・「失業率(%)」:低下
・「実効FFレート(%)」:上昇
・「S&P500÷300」:上昇
でした。
この観点、経験則では、9月の動きに不吉な兆候は見えない、か。
<米国失業率:1948年~>
※出所:Civilian Unemployment Rate | FRED | St. Louis Fedより管理者作成
2018年9月、失業率は「3.7%」となり、ITバブルの頃(2000.4)のボトム値「3.8%」を下回りました。
1940年代、50年代、60年代にはたまに実現していた約半世紀ぶりの低水準。
当時とは人口動態をはじめ、今と異なることも多いと思いますが、とりあえず今の米国景気はよさそうであることの一根拠とは思われます。
少し長い目で見ると、満ちた月が必ず欠けていくように、今後少しずつ不況に向かうのか、失業率は維持or低下し、このまま好況が続くのか。
今後も世界景気の減速トレンドが続くならば、
今後数年、リスクとチャンスに満ち満ちたボラティリティが上昇する展開が待っている?
ぼんやり眺めていると、ふとそんな予感が湧き、心惑わされるグラフではあります。
※一つの経験的な観点です。再現性があるかは不明。ご参考までに
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