米国の景気動向、株価動向を【米国の失業率】と【景気循環】で探る記事です。
米国の失業率を知るメリット
「失業率」と「景気」は関連が強く、「景気」と「株価動向」にも関連があり、「失業率」は長期的な「株価動向」を探る材料になり得る、と思われます。
失業率 ⇔ 景気 ⇔ 株価
最新の失業率
2019年6月の失業率は「3.7%」(前月比+0.1%)でした。
この数値は
・サブプライムバブルの頃のボトム「4.4%」
・ITバブルのころのボトム「3.8%」
より小さい値。
歴史的な低失業率水準が続いていると思われます。
失業率の推移
※出所:Civilian Unemployment Rate | FRED | St. Louis Fedより管理者作成 ※期間:1995年1月~2019年6月
この期間の長期平均「5.5%」で、ラインを引いています。
米国失業率は2009年10月のピーク(10.0%)から2019年5月(3.6%)まで、9年7ヶ月の低下トレンドが続いていました。
6月は少し上昇しました。
3.6%が底か、今後も低下トレンドが続くかどうか。
株価(S&P500)と米国失業率
※出所:Civilian Unemployment Rate | FRED | St. Louis Fed、Yahoo Financeのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2019年6月
米国の失業率と「<S&P500>÷200」の推移を併記したグラフです。
2019年6月は株価は大幅上昇、失業率は上昇、グラフ上の「株価と失業率の差」は拡大。
1995年以降、失業率の「低下時期」に株価は上昇しやすく、
失業率の「急上昇+高水準の維持期」
に株価は低迷しやすい傾向がうかがえます。
短期的な状況判断には役立ちませんが、長い目で見ると、
景気(⇔失業率)と株価
の関係をうかがう目安にはなりそうなグラフ。
米国景気拡大期
※出所:景気循環でみると2017年に米景気は後退期入り?|第一商品より管理者作成
1945年以降の米国景気拡大期をまとめた表です。
今回の景気拡大は2009年6月に始まり、現在は10年以上、米国の景気拡大が続いているようです。
この期間では1991.3~2001.3の10年の記録を抜き過去最長となりそう。
上記データによれば、1945年以降の米国の景気拡大期の平均は約5年、最長で10年。
直近3回の景気拡大期の平均は「95ヶ月」(7年11ヶ月。約8年)。
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●株価の「ピーク」と「ボトム」のタイムラグ・ピークからの下落率②
参考データ
失業率の長期推移(1948年~)と景気後退
※出所:Civilian Unemployment Rate ※期間:1948年1月~2017年12月
上記は米国失業率の約70年の長期推移です。
灰色のラインは景気後退期でこの期間、11回あります。
よくよく観察すると、
●失業率の底打ち後しばらくたってから
あるいは
●失業率のボトムから失業率が上昇し出すタイミングとほぼ同時に
景気後退が訪れるというパターンが目立ちます。
先のことは分かりませんが、とりあえず「景気後退には必ず失業率の上昇が伴っている」というのがこの期間の経験則。
その意味で失業率の観察は有用か。
米国失業率のデータ
1948年1月~2018年10月で最低の失業率は1953年の2.5%です。
その他、失業率のボトムは1960年代に3.4%。
その後はITバブルの頃(2000年)の3.8%、2019年の3.6%が目立ったところ。
最大値は1982年11~12月の10.8%。
比較的近年では2009年10月に10.0%を記録。
平均値は5.75%。中央値は5.60%。
「FFレート」「失業率」「株価」の確認
※出所:US Unemployment Rate、Yahoo Finance、Effective Federal Funds Rateのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2019年6月
最後に1995年以降の「失業率(%)」「実効FFレート(%)」「S&P500÷300」の推移の確認です。
経験則に過ぎませんが、直近2回のバブル崩壊は
●失業率の底打ち(ボトム圏から失業率が上昇し始める)
●FFレートの頭打ち(利上げの中止⇒利下げ)
●株価下落
が不吉なサインでした。
2019年6月は
・「失業率(%)」:上昇
・「実効FFレート(%)」:ほぼ変わらず(2.39⇒2.38%へ)
・「S&P500÷300」(株価):上昇
でした。
とりあえず現状では3つがそろうような明確なサインは確認されず。
今月末利下げがあるかどうか。
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