先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
4.3は「2489」。前週末比「-2.0%」。
3月月間では「-12.5%」。4月は今のところ「-3.7%」
2020.2月の最高値「3394」から「-26.7%」の水準。
<ここ5日の米国10年国債利回り>
4.3は「0.63%」。前週の「0.68%」から低下。比較的落ち着いた動き。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
4.3は「46.80」。前週の「65.54」より大幅に低下。
かなり下がりましたが長期的には異常値。
水準としては長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は
不安?
と推測。
目安の「30」以上であり、短期的には株価は割安?の可能性。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.10月:「29」
・2018.12月:「36」
・2019.5月:「23」
・2019.8月:「25」
・2020.3月:「85」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997.1月~2020.3月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.4.2
2020.4.2時点のジャンク債スプレッド(格付けBB、オプション調整後)は「6.72」で、前週の「6.94」より縮小。
ITバブル崩壊後の「6.9」より低くなりました。
スプレッドの長期平均は「3.3」で今は大幅に上回っており、投資家心理は不安?か。
<ここ1年>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成
スプレッド縮小ペースが若干落ちている感じもありますが、今後どうなるか。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
4.3時点の推計値は「2.76」。前週の「2.81」より低下。
この期間の中央値「2.77」を付近であり、現在株価は
ふつう
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018.1.26:3.60倍
②2018.9.21:3.51倍
③2020.1.17:3.76倍
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2020年2月末で約「28.0兆ドル」(前月末は「36.7兆ドル」)。
2020年2月末の米国バフェット指標は「1.25」(前月末は「1.64」)。
米国の時価総額は1月⇒2月で「23.7%減」という大幅減少。
現在のバフェット指標は2月末からS&P500は16%程度下げていることを考慮すると、1995年からの中央値(1.33)を下回っていそうな水準(適当な推測です)。
米国株の水準は
やや割安?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2020年米国名目GDP:22.32兆ドル(IMF推計)
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安時期の可能性
★ジャンク債スプレッド⇒割安時期の可能性
★S&P500のPBR⇒ふつう?
★米国バフェット指標 ⇒やや割安?
以上から米国株の水準は
ふつう~やや割安?(投資タイミングとしてややポジティブ要因?)
と推測。
また
★米国の金融政策:緩和的(ポジティブ要因?)
★米国の景気 :悪化傾向(ネガティブ要因?)
と推測。
株価水準、金融政策、景気動向から考え、現時点で米国株の投資タイミングに関して
・株価水準はやや魅力的だが決して安易には出動したくないタイミング
・「景気後退の進行や株価下落をじっくり待ってから動き出すか」「少しずつ段階的に投資を始めるか」悩ましい時期
か。
※個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
先週は株価が下落、割安感がやや増す。
・恐怖指数:引き続き高値
・S&P500のPBR、シラーPER:2003年より高い水準
・米国、世界のバフェット指標:急低下
・米国失業率:急上昇
おわりに
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着けば景気は急回復し、株価は急上昇する、かどうか。
もしそれが可能だとすると、
大規模な財政政策や金融政策を打てば、不況はごく短期で収束する。人類は不況に対して極めて有効な手段を手にしている
ということになります。
もしそうだった場合、何か「副作用」はないのか?
株価が3~4割程度下がる時期が一瞬来るだけで、長期的にはまた金融資産が右肩上がりのハッピーな局面がすぐにやってくる?
そんなうまい話はあるのか、大規模な財政政策や金融政策に起因する、あまり嬉しくない「副作用」があるのではないか?
もしあるとするなら、個人的には現時点で
「副作用」⇒インフレ率の上昇・通貨価値の下落
と推測。
長期金利が上がってしまうと、国債利払い費が膨大なものとなり予算が組みにくくなるという見栄えの悪い事態となるため(最悪、税収を国債利払い費が上回る)、各国中銀は国債を買って金利を抑え込む。
世界中でそれをやれば、金利上昇は抑え込めるかもしれない。
ただ、そういうことを続ければ、結局、どこかで物価上昇、インフレタックスの支払いが待っているのではないか。
したがって、原油や金などの商品価格は長期的には上がりやすいのではないか、という判断から、先週、原油や金ETFを投資資金の10%くらいの枠で購入。
原油ETFは長期で持つと減価が激しいようで、あまりいい商品ではなさそうですが、投資資金のごく一部なので適当に買いました。
金利が大きく上がらなければ、物価上昇に対してリートも悪い投資対象ではないか。
コロナ収束後、物価上昇も金利上昇もなく、コロナ前のような資産インフレが続くようなら、それはそれでいいことなんですが、チキンなわたしは何か落とし穴があるような不安あり。
もちろん不況の長期化による金融危機発生や戦争勃発などのネガティブストーリーの可能性も排除しきれず、基本ヘッジをかけつつ、「これは割安では?」というものをちょこちょこ拾う展開。
※個人の感想です。投資は自己責任で
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